「猫を飼い始めてから、なんだか良いことが増えた気がする」——そんな話、猫と暮らす人からよく聞きます。
実はこれ、気のせいではないのかもしれません。日本では昔から、猫は「福を招く存在」として大切にされてきました。招き猫はもちろん、ことわざや言い伝え、世界の神話にまで、猫と幸運を結びつける話がたくさん残っているんです。
今日は、猫と暮らす風水アドバイザーの私が、猫にまつわる幸運の言い伝え・ことわざ・招き猫の由来を、まるごとまとめてお話しします。読み終わるころには、隣にいる猫が、いつもよりちょっと縁起よく見えてくるはずですよ。
猫は昔から「幸運を招く存在」だった
そもそも、なぜ猫は縁起物になったのでしょう。その答えは、猫が人の暮らしを支えてきた歴史にあります。
昔の日本では、米や穀物、そして大切な書物を、ネズミの害から守ってくれるのが猫でした。特に、お寺や商家にとって、書物や商品をかじるネズミは大敵。それを退治してくれる猫は、まさに「福をもたらす守り神」だったんです。養蚕(ようさん)が盛んな地域では、蚕(かいこ)をネズミから守る猫が、それはそれは大切にされました。
つまり猫は、「かわいいから」だけで縁起物になったのではなく、実際に人の財産と暮らしを守ってくれる、頼れる存在だったから福を招くとされたんですね。この「猫=豊かさを守る」というイメージが、のちの招き猫や、さまざまな言い伝えの土台になっていきました。
幸運・運気にまつわる猫の言い伝え
猫にまつわる言い伝えは、全国にたくさんあります。ここでは、幸運や運気に関わるものをいくつかご紹介しますね。(いずれも古くからの言い伝えで、諸説あるものとしてお楽しみください)
猫が顔を洗うと、雨が降る・来客がある いちばん有名な言い伝えかもしれません。猫が前足で顔や耳をなでる仕草をすると、雨が近い、あるいはお客さんが来る、といわれます。実際、猫は湿度の変化に敏感なので、雨の前に毛づくろいが増えるという説もあり、まんざら迷信でもないのかもしれません。
猫が高いところに登ると、天気が変わる 猫が急に高い場所へ登りたがると、天候が崩れる前触れ、という言い伝えも。気圧の変化を感じ取っているのかもしれませんね。猫はやっぱり、目に見えないものを感じるのが上手な生きものです。
黒猫が前を横切ると幸運 日本では古くから、黒猫は「福猫」「魔除け」として縁起がいいとされてきました。夜でも目が利く黒猫は、魔を退けると考えられていたんです。おもしろいのは、欧米では逆に「黒猫が横切ると不吉」とする地域があること。同じ黒猫でも、国によって見られ方がまるで違うんですね。
夜に爪をとぐと縁起がいい 地域によっては、猫が夜に爪とぎをするのは福を呼ぶ、という言い伝えもあります。爪とぎは猫の健康なテリトリー主張。元気な猫がいる家は活気がある、という実感から生まれた言葉なのかもしれません。
言い伝えは、そのまま信じるというより、「昔の人がどれだけ猫をよく見て、大切にしてきたか」の記録として読むと、あたたかい気持ちになりますよ。
猫が出てくる、ことわざ・慣用句
日本語には、猫が登場することわざや慣用句がたくさんあります。そこには、昔の人が見ていた「猫と人の絶妙な距離感」が映っていて、風水的にも面白いんです。
猫の手も借りたい 忙しくて、誰でもいいから手伝ってほしい、という意味。ふだんはマイペースで役に立たなさそうな猫でも、というニュアンスですが、裏を返せば「猫はいて当たり前の存在」だったということ。暮らしにすっかり溶け込んでいたんですね。
猫に小判 価値のわからない者に高価なものを与えても無駄、という意味。でも風水的に見ると、猫は「お金そのもの」より「心地よい場所」に価値を置く、という猫らしさが出ていて、私はちょっと好きなことわざです。
借りてきた猫 いつもと違って、おとなしく縮こまっている様子。よその家に行くと猫がおとなしくなるのは、環境の「気」の変化に敏感だからとも言えます。猫は本当に、場の空気を読む名人なんです。
こうして見ると、ことわざの中の猫は、気ままで、でも人の暮らしにちゃんと寄り添っている。その距離感こそ、猫が長く愛されてきた理由なのでしょうね。
金運と猫の深い関係
猫と幸運の中でも、特に強く結びついているのが「金運」です。その象徴が、みなさんおなじみの招き猫。
招き猫の右手・左手・色の意味
招き猫は、上げている手によって招くものが違うとされます。
- 右手を上げた猫 … 金運・幸運を招く
- 左手を上げた猫 … 人(お客さん)を招く。商売繁盛に
さらに、色にも意味があります。
- 金色・黄色 … 金運アップ
- 白 … 福・開運
- 黒 … 魔除け・厄除け
- 赤(朱) … 無病息災
「金運を上げたいなら、右手を上げた金色の招き猫」が王道、というわけですね。
「化け猫」ではなく「福猫」の系譜
猫にまつわる話には、化け猫や猫又といった少し怖いものもあります。でも日本人は、そうした畏れ(おそれ)と同じくらい、いえそれ以上に、猫を「福を招く存在=福猫」として大切にしてきました。畏れるほどの不思議な力があるからこそ、その力を良い方へ——という願いが、招き猫に込められているのだと思います。

弁財天・白蛇、そして猫
金運の神様といえば、七福神の紅一点・弁財天(べんざいてん)。その使いは白い蛇とされ、蛇(巳)の日が金運の吉日になっているのは、このためです。
日本人は昔から、蛇や猫といった身近な生きものに、金運や幸運を運ぶ力を見てきました。猫が福を招くという発想も、こうした「動物に神聖なものを感じる」日本人の心から生まれた、自然な流れなんですね。
→ 金運を育てる暮らし方はこちら → 秋は金運の季節|部屋別の金運風水

招き猫の由来と逸話
では、その招き猫はどこから生まれたのでしょう。実は発祥には諸説あり、有名なものが東京に2つあります。どちらもすてきなお話なので、ご紹介しますね。
豪徳寺(世田谷)— 福を招いた猫
江戸時代の初め、彦根藩主・井伊直孝(いい なおたか)が、鷹狩りの帰りに豪徳寺の前を通りかかりました。すると、和尚さんの飼い猫が門前で、手招きをするような仕草をしていたのです。
不思議に思った直孝が寺に立ち寄って休んでいると、突然の雷雨。猫のおかげで雨に濡れずにすんだ直孝は大喜びし、後日、荒れていた豪徳寺の再建のために多額の寄進をしました。おかげでお寺は栄えた——これが、豪徳寺に伝わる招き猫の由来です。「徳(福)を招いた猫」ですね。豪徳寺には今も、たくさんの招き猫が奉納されています。
今戸神社(浅草)— 猫の恩返し
もうひとつが、浅草の今戸神社に伝わるお話。江戸末期、花川戸に住む貧しい老婆が、暮らしに困って泣く泣く愛猫を手放しました。するとその夜、夢枕にその猫が現れて、こう告げたのです。「自分の姿を人形にすれば、必ず福が授かりますよ」と。
老婆が言われたとおり、今戸焼で猫の人形を作って浅草神社の鳥居脇で売ったところ、これが大評判に。おかげで老婆の暮らしは上向いた——この逸話は、江戸時代の記録『武江年表』の嘉永5年(1852年)の項にも記されています。今戸神社は縁結びでも有名で、こちらは「縁を招く猫」といえますね。
このほか、新宿の自性院(じしょういん)なども発祥地として知られています。どれが本当の元祖かは、実ははっきりしていません。でも、それぞれの土地で猫が大切にされ、福の象徴として語り継がれてきた——その事実こそが、招き猫のいちばんの魅力だと私は思います。

招き猫の正しい飾り方
せっかく招き猫を置くなら、飾り方にもちょっとしたコツがあります。玄関や、人の目に入りやすい場所に、少し高めの位置で。詳しい置き方や毛色ごとの意味は、こちらの記事でお話ししています。

世界の猫と幸運の言い伝え
猫を幸運の存在とするのは、日本だけではありません。世界にも、猫にまつわる素敵な言い伝えがたくさんあります。
古代エジプト — 女神バステトの化身 古代エジプトでは、猫は女神バステトの化身とされ、神聖な生きものとして深く敬われていました。猫を傷つけることは重い罪とされ、家族の一員として大切にされていたそうです。猫を飼うことが、家に幸運と守護をもたらすと信じられていたんですね。
船乗りと猫 — 航海のお守り 世界中の船乗りたちは、猫を「航海の無事を守る存在」として船に乗せていました。ネズミから食料や船を守る実用面はもちろん、猫がいることで嵐を避けられる、幸運を呼ぶ、と信じられていたのです。特に三毛猫は幸運を呼ぶとされ、大切にされました。
黒猫の見られ方は国それぞれ 先ほど触れたように、黒猫は日本では福猫。イギリスの一部でも「黒猫が来ると幸運」とされます。一方で、不吉とする地域もある。同じ猫でも、国や文化で受け止め方がこれほど違うのは、面白いですよね。
こうして見ると、時代も国も超えて、人は猫に「幸運」を見てきたことがわかります。猫には、人の心を惹きつける不思議な力が、本当にあるのかもしれません。
猫と暮らすことが、いちばんの開運かもしれない
ここまで、たくさんの言い伝えや逸話をご紹介してきました。でも最後に、いちばん大切なことをお伝えさせてください。
猫が福を招くのは、言い伝えや招き猫のご利益だけの話ではないと、私は思っています。
猫がそばにいると、自然と笑顔が増えます。ゴロゴロと喉を鳴らす音に癒され、窓辺で丸くなる姿に心がほどけ、忙しい毎日にふっと余白が生まれる。その穏やかな心の状態こそが、いちばんの開運なんです。風水でいう「良い気」は、住む人が心地よく、機嫌よくいられる家に流れます。猫は、その心地よさを毎日運んでくれる、小さな福の神様のような存在なんですね。
我が家にも猫がいますが、この子が来てから、家の中の空気がやわらかくなった気がしています。言い伝えを信じるかどうかより、猫と過ごす何気ない時間そのものが、もう十分に幸せで、開運なのだと思います。
よくある質問
- 黒猫は縁起が悪いのですか?
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いいえ、日本では昔から黒猫は「福猫」「魔除け」として縁起がいいとされてきました。夜でも目が利くことから、魔を退ける守り神と考えられていたんです。欧米の一部に不吉とする見方があるだけで、日本では幸運の猫ですよ。
- 招き猫はどこに置くのがいい
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玄関など、人の目に入りやすい場所に、少し高めの位置で飾るのがおすすめです。金運を願うなら右手を上げた金色、人やお客さんを招きたいなら左手を上げた猫を。詳しくは猫と運気の関係の記事で解説しています。
- 三毛猫のオスが幸運って本当?
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三毛猫のオスは遺伝的に非常に珍しく、数万匹に1匹ともいわれます。その希少さから、昔の船乗りたちは三毛猫のオスを「幸運を呼ぶ守り神」として大切にし、航海のお守りにしたと伝わっています
まとめ
猫が「福を招く存在」とされてきたのは、ネズミから財産を守る頼れる相棒だった歴史に始まり、ことわざ、言い伝え、招き猫、そして世界の神話にまで、脈々と受け継がれてきた人と猫の物語があるからでした。
でも、いちばんの開運は、きっと難しい話ではありません。今日も隣で寝ている猫を、そっとなでてあげること。その穏やかな時間こそが、あなたの家に福を招いているのだと思います。
猫と暮らす家の運気の整え方は、ほかの記事でも詳しくお話ししています。よかったらのぞいてみてくださいね。

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